恋は、自分が恋をしていることに気づくと世界に色がつきます。
愛は……深まるほどに「わからなく」なる時もあって、ただ、楽しく穏やかな時ばかりじゃない気がします。
恋と愛について、自分の想いを伝えることとか、相手に気づいてほしい想いを美しく表現しているのが、今回ご紹介する「あなた」だと思います。
恋と愛の中にいる人には、きっとこの切な苦しい気持ちがわかるのではないでしょうか。
「あなた」の基本情報
「あなた」はHYのインディーズ2枚目のアルバム『Street Story』の7曲目に収録されている楽曲です。
このアルバムは2003年4月にリリースされたアルバムで、1曲目の「AM11:00」は今もカラオケのランキングでは上位に位置するなど幅広い世代に人気の曲となっています。
2000年代初頭は音楽シーンに「沖縄ブーム」のようなものが巻き起こっていて、様々な「沖縄出身アーティスト」がそれまで以上に注目を集めていた頃でした(この時の火付け役はMONGOL800と言われています)。
「あなた」が収録されている『Street Story』はミリオンセールスとなり、HYの名前は一気に有名に。
ただ、知名度が上がり多忙になり、全国ツアーなどで沖縄での活動(滞在)時間が少なくなるにつれて、メンバー間ではしんどさが募っていたそうです。
その後しばらくしてHYは沖縄を拠点に活動をするようになり「自分たちらしさ」を取り戻したと言われています。
「あなた」はボーカルとメロディと言葉がしみ込んでくる
「あなた」はボーカルである仲宗根泉(なかそね いずみ)さんの歌唱力の高さがいかんなく発揮されている、それだけでもすごく美しい曲だと思います。
その上に、心を揺さぶってくる言葉が乗せられているので、聴いていると心の底から「しみる……」という感覚を得ることができます。
ボーカルの美しさ
HYには男性と女性のボーカル、また曲によってラップが入るので、1枚のアルバムでも様々な面を楽しむことができるバンドです。
今回ご紹介している「あなた」はバンドで唯一の女性メンバー仲宗根泉さんが全編にわたってボーカルを担当しているのですが、彼女の伸びやかでいて力強い歌声が本当に美しい。
沖縄をはじめ、日本の南方にある島出身の女性ボーカリストってすごく美しい声の持ち主が多いです。
そんな多くのボーカリストの中でも、仲宗根泉さんの声はただ美しいだけではなく、芯があっているのに透き通っているので、恋の歌に主人公の想いが強く反映される感じがして「切なさ」をより深く感じられる気がしています。
メロディと言葉
「あなた」はバラード曲。
ゆっくりと流れる旋律に、言葉の1つ1つが丁寧に乗せられていきます。
聴いている者にも、その言葉は確かに届いてきて、自分の心を揺り動かします。
私がこの曲の中で最も好きなのは次のフレーズ。
理解の上で成り立つ恋を
想い合う事で深まる愛を
あなたに気づいて欲しいから
私は歌う この歌を出典「あなた」/作詞 Izu 作曲 Izu、Yuhei
恋は、自分の世界を広げてくれるし、楽しい時間をくれます。
でも、ただ相手のことを好きだとか、幸せでいてほしいとか、そう思うだけでなく、そこから一歩踏み出そうとするなら「お互い理解し合う」ことがとても大切。
これがないと恋は「エゴのぶつけ合い」にしかなりませんよね。
この「お互いの理解」を越えたら、そこには「愛」があるんだけど、実は「恋」より「愛を続ける」ことの方が大変で……。
愛は理解を越えたのちの「想い合い」が必要。
これ、愛と恋が逆じゃない?と感じる方もいるかもしれません。
でも、自分が実際にこの道をたどってみると「ああ、その通りだな」と感じます。
愛を続けるには「想い合う」ことが、本当に大事で、これがなくなると、愛は冷えていってしまうんだろうな、と切に思います。
この曲の最後は次のような言葉が綴られます。
この歌はこの歌は永遠に愛するあなたに
捧げる歌なの
聞いてる?伝わってる?
私があなたに対する愛を出典「あなた」/作詞 Izu 作曲 Izu、Yuhei
想い合うことに欠かせないのは、相手の言葉を受け止めること。
「もう相手のことはよくわかっているから」
といつしか相手の言葉に耳を傾むける努力を怠るようになると、それって相手にはわかるんですよね。
私には「聞いてる?伝わってる?」というフレーズが、愛を続けるにはお互い忘れちゃいけない「お互いの声を聞くこと」への忠告になっているように思えます。
まとめ
今回は「恋と愛」ということで、HYの曲のなかでも大好きな「あなた」についてお伝えしてきました。
この曲は「恋をしている時」だけでなく、「愛を続けたい」人にもぴったりの曲なので、ぜひそうした人にも聴いてもらいたい楽曲です。
「あなた」を聴くことで、あなたにとっての大切な人にも、あなたの想いが届きますように。
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