私の中では「椎名林檎」というカテゴリがある彼女の音楽。
初期からずっと好きで、年を経てもやっぱり好き。
今回は「幸せ」ということにスポットを当てて、彼女の数ある楽曲の中から「幸福論」をピックアップします。
この曲を聴くと、脳内に「幸福」な花びらが舞います。
「幸福論」の基本情報
「幸福論」は椎名林檎さんのデビューシングルの表題曲。
1998年5月にリリースされました。
カップリングは「すべりだい」という曲ですが、実は椎名林檎さんはこちらの曲の方を表題にしたかったらしいです。
曲の間柄?的には「すべりだい」の世界→「幸福論」の世界で進むということで。
「幸福論」は椎名林檎さんのファーストスタジオアルバム『無罪モラトリアム』に収録されていますが、これは「幸福論(悦楽編)」として。
シングルでリリースされたバージョンが収録されたのは、2019年3月にリリースされた初のベストアルバム『ニュートンの林檎~初めてのベスト盤~』となります。
10年の時を経て、ここで初めてアルバムに入ったのですね~。
私は悦楽編も好きですが、やっぱり、シングルバージョンが好きなんですよね。
「幸福論」「すべりだい」「時が暴走する」Amazon mp3
「幸福論」って恋にも愛にも添うのがすごい
「幸福論」を最初に聴いた時の私はまだ高校生。
自分とさほど年齢の変わらない女の子の歌う「幸福論」。衝撃的でした(ちょうどのアランの「幸福論」を課題で読んでいたこともあり)。
まずは↑の動画で楽曲を聞いてみてください。
「汲んで」の世界観
茨木のり子さんの詩に「汲む」というタイトルの詩があります。
私は勝手に「汲む」って人の心に触れようと努力し、思いを心ですくおうとすることだと思っています。
汲む、についている「及」の字源は、「人+又(手)」で、人の背中を追って手をつけることらしいです。
人の背中に追いつくから「及ぶ」。
これにさんずいがつくと、水に手が届くとなり「水をくむ」になっていくようです。
本来の「水を汲む」ことに「人の心情に心を及ばせる」が入ったのは、やはり「人の心は流れる水のように自由でつかみどころがない」からかなと個人的には解釈しています。
その「つかみどころのない人の心」特に本当にすごく知りたい「好きな人の心」に対して、無理やりつかみ取ろうとするのではなくて「汲もうとする」のが、椎名林檎さんの「幸福論」が「幸せ感」を舞わせる最大のポイントだと私は勝手に考えています。
好きだからといって「縛らない」「押し付けない」「完璧(自分の理想)を求めない」この潔いのに強く相手を大事にする気持ちは、次の歌詞から感じました。
そしてあたしは君の強さも隠しがちな弱さも汲んで
出典「幸福論」 作詞/作曲 椎名林檎
また相手を尊重することが、本当に「愛し愛される」ことに通ずるというのは、次の歌詞で強く感じました。
あたしは君のメロディーやその
哲学や言葉 全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです出典「幸福論」 作詞/作曲 椎名林檎
この歌詞からは、自律している気持ちもすごく好きだったし、ただ守られるだけを期待していないカッコよさも、すごく好きでした。
「そう、私たちは愛する者を守る側に立つのだ」
このことをはっきり、だけどチャーミングに言葉として立たせるって本当にすごいと感じていました。
「愛し」「愛される」ことを打ち出せる「幸福」
先に、私がこの曲を初めて聞いたのは高校生の頃、と書きましたが、その頃周囲にあった「恋愛もの」の作品の言葉には大体「愛されたいなら愛さなきゃ」的なことが書いてありました。
もちろん、その通りだと思うのですが……。
ほとんどの人って、本当に好きな相手に対しては
「好きだな」「大事だな」「笑っててほしいな」「幸せでいてほしいな」
ということを普通に想っていると思います。
だから、相手のことを優先してなかなか自分の気持ちを正直に言えないことも多いと、私は思います。
でも、この曲ははっきり「愛し愛されること」が幸福なんだよ!と言ってくれます。
本当のしあわせを 探したときに
愛し愛されたいと考えるようになりました出典「幸福論」 作詞/作曲 椎名林檎
そう、幸福って、ただこちらから「愛する」「相手の幸せのために何かする」だけじゃなくて、ちゃんと「愛されたい」っていうのも、表現していいんですよね。
「愛し愛される」。だから幸福。これをすごくストレートに表現できるって、言い切れるって、本当に大事なことだと思っています。
そして……
この「幸福論」って、自分が年齢を経て、家族をもったり、環境が変わったりすると、その時々の「愛し愛される」に沿ってきてくれる曲なんですよね。
私には今、2人の子どもがいますが、彼らに対しては無条件に
時の流れと空の色に
何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君にエナジイを燃やすだけなのです出典「幸福論」 作詞/作曲 椎名林檎
と、心からそう思えます。
そして何より、子どもに対しては
君が其処に生きているという真実だけで幸福なのです
出典「幸福論」 作詞/作曲 椎名林檎
と何のためらいもなく、いうことができます。
恋にも愛にも沿えるこの世界観。さすがです。
まとめ
「幸福論」はライブ(第一回林檎班大会)で弾き語りが歌われているのですが、アコースティックな感じも、また素敵。
エレキなサウンドももちろんエネルギッシュで好きですが、この曲は自分の中ではアコギで夜更けにゆっくり歌いたい曲でもあります。
もし、私が家族にこれをアコギで歌われたら号泣すること必至です 笑
椎名林檎さんの「幸福論」であなたの心の本棚に、素敵な一冊が増えますように。
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