今回ご紹介するお話はあとり硅子さんの「眠れない夜」。
このサイトでは、あとり硅子さんの作品は別記事にて一覧で一度紹介しています(詳細はこちら)。
ただその後、あとり硅子さんの作品は1つ1つ、それぞれの記事で紹介していくことにし、今回は4作目となるあとりさん作品の紹介記事です。
今回ご紹介している「眠れない夜」はWINGS COMICS『夏待ち』に収録されています。
「眠れない夜」はあとり硅子さんのデビュー作で、次回ご紹介予定の「月夜のチェリーボーイ」はその続編となっています。
「眠れない夜」
今回ご紹介している「眠れない夜」の初出は「ウィングス」’93年 12月号です。
このお話はWINGS COMICS『夏待ち』に4作目として収録されています。
このコミックスのP.134には、主人公(かれんさんと薬師丸くん)の書き下ろしイラストが描かれています。
このイラストに添えられているコメントが、あとりさんっぽくて何だかほっこりします。
「眠れない夜」が収録されているコミックス『夏待ち』には本作以外に、次の作品も収録されています(※リンクがついているものには、詳細を書いた別記事があります)
・夏待ち
・seagreen
・英雄
・月夜のチェリーボーイ
・ハッピーゴーラッキー
・四ツ谷渋谷入谷雑司ヶ谷
あとり硅子さんについての詳細は、Wikipediaでどうぞ。
安眠しても相変わらずランボー
「眠れない夜」の主人公は高校2年生の女の子、日比野かれんさんと、その友人の薬師丸くん(下の名前はわからず)。
この2人、幼馴染みではないかもしれませんが、かなり気心の知れた仲、という感じです。
そして、この2人の特徴は何といっても「霊感」があること。
ただ、かれんさんは「見えるだけ」、薬師丸くんは「聞こえるだけ」という「使えない」霊感の持ち主です。
2人とも「使えない霊感」持ちである以外は普通の高校生なので、もちろん除霊などができるわけではありません。
そんな2人が、霊感はありつつも平凡な?日常を送っていたある日、かれんさんの身に超絶寝不足な日々を送ることになってしまう事件が起きます。
その事件とは「かれんさんの所に夜な夜な女子高生の霊が現れる」というもの。
元来とっても粗暴……基い、バイタリティ溢れるかれんさんは、寝不足解消のため、薬師丸に(バイオレンスに)協力を仰ぎ、女子高生の霊を自分のもとから立ち去らせようとします。
これは当然、自分が安眠を取り戻すため。
霊の声を聞くことができないかれんさんは、読唇術を試みたり、夜中の学校に薬師丸と忍び込んで霊の要望を聞くことにしたりと奮闘します。
この幽霊な女子高生については、別のクラスの男子高生(中山くん)が何やら心当たりがあるようで、彼も巻き込んで「除霊」を試みることに……。
さて、かれんさんと薬師丸くん、そして中山くんの努力は奏功するのでしょうか?
女子高生の霊がかれんさんのもとに現れたのは一体ナゼだったのでしょうか?
「眠れない夜」で終始見て取れるかれんさんのどこまでも前向きで強い行動力に、きっとあなたもナゼか「頑張ろ」って思えるはず 笑
かれんさんの強さは気持ちいい!
今回ご紹介している「眠れない夜」は「月夜のチェリーボーイ」という続編があるのですが、いずれの主人公も「かれん×薬師丸」コンビです。
でも、どちらかというとメインの主人公はかれんさん、と言えるでしょう。
一般的に高校2年生くらいの女の子は、気持ちいいくらい「自分中心に」世界が回っている、と思える時期な気がします。
かれんさんはそんな「自分中心」な世界観に加えて、自分の世界を自分で切り拓いていく強さを持っている女の子です。
近年の少女漫画には「ダメな自分なのに学年一カッコいい男の子がナゼか振り向いてくれて……」的なお話が結構あるように感じますが、かれんさんはそうしたタイプの女の子とは対極にあるような子です。
気に入らないことは自分で取り払っていくし、自分の希望は自分が動くことで叶えていくようなタイプ。
その方法は多少(結構?)強引なこともありますが、かれんさんくらい自分の気持ちに正直だと毎日スッキリ生きられるだろうな……と高校生の私は思ったものです。
男子の目も気にせず、思うままに振る舞うかれんさん。
彼女のような女の子が増えたら、彼女の強さを是とする女の子がもっと増えたら、私たちの世界はガラリと変わるのではないかな、と私は思っています。
かれんさんに出会うことで、「自分はもっと自由でいいんだ」と思う女の子が増えるといいな、とずっと願っています。
あたしに編み物ができない以上 薬師丸が編むのがスジってもんでしょ!!
『夏待ち』P.120
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