「家族がしんどい」
20年間、ずっと抱えてきた「家族へのしんどさ」を私は今、日常的には解消しています。
振り返れば、私が育った家庭は「機能不全家族 予備軍」でした。
「錬金かぞく」シリーズでは、私が生まれ育った家族が家族総出で負の連鎖から抜け出したその方法を、漫画で少しずつお伝えしていきます。
今回の記事では次の2つのポイントを重点的にご紹介しています。
・アダルトチルドレンの5つのタイプ
どうかこの記事が、あなたの人生を好転させるきっかけになりますように。
父親と母親を理解することで得られる脱出ポイント
私の両親はいずれも母子家庭で育ちました。
どうして母子家庭になったのか、その過程は父と母で全く異なりますが。
私の両親は自分が育った家庭・過程についてよく話をしてくれました。
これは機能不全家族からの脱出と再生に非常に役立つ情報でした。
父の場合
父は戦後すぐの生まれで、父親を病気で亡くしています。
父の実家は昔から商売をしており、経済的には比較的裕福な家庭でした。
ただ、父親が亡くなり、母子家庭となったことで母親が父の役割も担わなければならず、末っ子である父を「精神的に」甘やかすことは難しかったようです。
私の父は経済的には貧しくなくても、愛情に飢えた子だったと推測されます。
さらに、家庭環境も色々と複雑だったため、家庭内での正常な意見の通し方・人とのコミュニケーションの取り方を学べなかったのだと思います。
父を見ていて彼には愛着障害があったり、環境による発達障害傾向があるのだろうと私は推測しています(正しい診断をしてもらったわけではないですが)。
母の場合
母も戦後から5年で生まれたいわゆる団塊の世代の人です。
日本の国自体がまだ貧しく、貧富の差が目に見えてあった時代に母は幼少期を過ごしています。
母の父親(私にとっての祖父)は仕事のため家庭から離れ、そのまま、帰ってきませんでした。
(私にとっての)祖父母は「籍」という意味での離婚はしていませんが、祖父は家を出てから戻ることがなかったので、実質的に母は祖母の手一つで育つことになりました。
祖母は大層裕福で家柄の良い出自だったようですが、それは子どもを育てる実生活では何もお金になりません。
とにかく1日中、働いて働いて、母と母の妹を育てました。ただ、母は父と異なり、(食べるにはギリギリ困らなくても)かなり貧しい生活をしていたそうです。
母もまた、家庭環境により母親との正常な愛着関係が築けず、また(諸々事情があるとはいえ、家庭を捨てた)自分の父親への嫌悪感から根深い男性不信を抱いて大きくなったと思います。
家庭環境が両親にもたらしたもの
父と母の生育環境を知ることで、私はどうして彼らが家庭内での対人コミュニケーション力が非常に低いのか、理解できました。
正常な家庭モデルの中で育っていない彼らに、家庭内における問題ない対人スキル・親子コミュニケーションを望むのは大変酷なことです。
両親は「とにかく子ども達を一人親家庭にしない」という思いで、家庭を(籍的に)守り続けました。
一人親で育った両親にとって、この負の連鎖を断ち切るのは並大抵の努力ではなかっただろうと思います。
しかし、彼らだけで成し遂げられるのはこの部分が精一杯。
家族が家族として、正常に機能するところまで高めることは、両親にとってハードルが高すぎたわけです。
父不在の家庭育ちで、夫として父としての振る舞いがわからない、私の父親。
同じく父不在の家庭で、妻として母としての振る舞いがわからない、私の母親。
家庭環境が両親にもたらしたのは、彼らだけでは抱えきれず乗り越えきれない、高く険しい壁でした。
アダルトチルドンの5つのタイプ
両親が正常に機能していない我が家では、姉弟(私は3人姉弟の中間子です)それぞれが「アダルトチルドレン」な傾向があります。
ただ、弟は両親にとって高齢出産の時期に生まれた子なので、(両親ともに親としての経験値が上がり)私や姉の時に比べると正常な両親の愛情を受け育っていると思えます。
機能不全家族育ちの人は、下記の5つのタイプから自分のタイプを知ることで、今後自分が生きやすくするための方法を考えやすくなります。
・クラウン
・ヒーロー
・スケープゴート
・ロスト ワン
ではここからアダルトチルドレンの5つのタイプを詳しくみていきましょう。
ケアテイカー(care taker / 世話役)
「私は機能不全家族で育ったんじゃないか」という人の多くに当てはまるタイプ。
そして、このタイプは自分が「機能不全家族の犠牲者」とは気づきにくくもあります。
本来であれば親がやるべき家族の世話や、愚痴の聞き役、慰め役をします。
私は典型的な「ケアテイカー」でした。
母が仕事の時は家事・炊事・お店番の一切を代わり、幼稚園に行く弟の登園準備もしていました。
もちろん、自分の「こうしたい」とか「あれやってみたい」は後回し。
その「後回しにしていること」にも「後回しにできるくらいだから本当にやりたいことじゃなかった」と理由をつけて自分の気持ちを誤魔化していました。
私は女性なので、母の愚痴を聞いている時はきっと母にとっての母親役をしていたのだろうと思います。
そして父を怒らせないための振る舞いは、きっと妻役。
自分が年相応の子どもでいていいのは学校だけなので、学校は私にとっては逃げ場でもありました。
ケアテイカーは依存傾向の強い人に付け込まれやすくなるので、注意が必要です。
クラウン(clown / 道化師)
道化師(=ピエロ)と言われることでわかるように、家族の中で緊張をほぐそうと立ち回るタイプです。
家族間に緊張する事態が発生した時、わざとおどけて見せたり、家族が笑うような失敗をしたり。
自分を貶めることに慣れてしまうので、このタイプは明るそうに見えて非常に自己肯定感が低くなる傾向にあります。
後で出てくるスケープゴートタイプは自傷癖が出やすいと言われますが、実はこのクラウンタイプも「顔で笑って心で泣いて」タイプなので衝動的に自傷に走ることがあります。
私はケアテイカーでありつつ、小学生の頃まではクラウンでもありました。
私が自傷に至らなかったのは、姉が私を認めてくれることで、私の尊厳や肯定感が認められたからだと思います。
さらに、たくさんの漫画を読み漁り、自分でも物語を作ることで、自己カウンセリングをしていたのも、最終的に自分を傷つけずに済んだことにつながると考えています。
ヒーロー(hero / 英雄)
学校や外の世界だけでなく、家も「良い子」でいるタイプのアダルトチルドレンです。
このタイプは、夫婦間がどんなに破綻していても、自分が頑張ることで家族の関係が良くなると信じ、家族の期待に応え続けようとするタイプです。
ケアテイカーと同じく、本当の自分の夢や希望は後回しにして、行動原理を「家族が繋がっているため・壊れないため」に置いています。
頑張ることで成果を得られた優等生タイプに多く、このタイプが自分が機能不全家族で育ったことに気づかなければ、表面には見えない形で歪みが連鎖していきます。
また、世間に出て失敗した際、本来なら支えてくれる家族が「不全」であるため存在せず、逃げ場をなくし挫折感が深め心を病みやすくなる傾向にあります。
スケープゴート(scapegoat / いけにえ)
ヒーロータイプが「不満を内に溜めこみ問題を発散させられない」タイプとすると、スケープゴートタイプは「問題を起こすことで自分が生贄になる」タイプと言えるでしょう。
学校や集団生活で非行や問題行動を起こしやすいため「家族が機能していないのはアイツのせいなんじゃない?」と思われがち。
しかし、その子が問題行動を起こすのは、実際は家族に問題があるため、なんですね。
自分が悪者になることで、家族の抱える不満・いら立ち・憎しみを受け止めようとしているのです。
ただ、家族自体もその子の問題行動の根っこに自分たちの「機能不全」があると気づいていないため、「あの子がいなければ我が家は平和なのに」と思ってしまいます。
この家族による勘違いは、問題行動を起こす本人にも「おまえのせいで」とぶつけられるため、このタイプも自己肯定感が低くなり他者に依存しやすくなります。
居場所を求めて若いうちから問題の大きい性行動に出るのも、こうしたタイプに多いと言われています。
ロスト・ワン(lost one / いない子)
家族の中で自分自身を「いない子」としてしまうタイプです。
自分の存在を消すことで、その家族に居続けようとします。
私の姉は、きっとこのタイプだったと思います。
特に中学~高校あたりの姉は父と折り合いが悪く、父にとって自分を「いない子」にしていたように思います。
このタイプは表面上とても良い子なのですが、それは内に溜めているストレスが表面化されていないだけです。
人の顔色を窺いやすくなり、またストレスによって体調を崩しやすいタイプにもなります。
漫画 錬金かぞく③「両親の生育過程と私の立ち位置は関係ないことに気づく」
錬金かぞく。
これは「機能不全家族」に片足突っ込んでいた(いや、もしかしたらもうなってたかも)私の育った家族が、どうやってその「負の連鎖」から抜け出したのかをゆるっと描いていく漫画です。
なぜ「錬金」なのか。
それは、私の生まれ育った家族が、両親も子ども達も、家族の誰もが傷つきながら「錬金」するように家族を作っていったから。
でも、その道筋は、簡単ではありませんでした。
第3話は「理解と許容は違うとわかった」編
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